デザイナー INTERVIEW

「人生の大事な場面でも耐えうる、質の高いレターアイテムを作りたい」
デザイナー 雨宮一光

G.C.PRESSの製品を支えている、インハウスのデザイナー陣にインタビュー。第4回は、デザイナーの雨宮一光さんに手がけたレターアイテムの製作秘話やデザイナーとしての信念などを伺いました。


初めて製品が形になった時、充実感がありました

現在(2018年)、入社4年目の雨宮さん。入社して初めて手がけた製品は、パリの街の暖かな雰囲気が美しいレターアイテム「ネージュエリュミエール〜雪の灯り」でした。

「デザインをする際に、ドイツの写真家・ブラッサイのモノクロ写真集を参考にしました。パリの街灯やカフェ、石畳の階段など、古き良きベルエポック時代のパリをイメージしています。暖かな雰囲気を出すために、紙と鉛筆のシンプルな画材で描きました」

「初めて手がけた製品が形になった時はうれしかったし、“やれるところまではやった”という充実感もありました。鉛筆画のクラシカルな表現と現代的な表現の”箔“のミックスは、弊社の製品にはなかったスタイル。チャレンジさせてもらいました」

▲「ネージュエリュミエール〜雪の灯り」と雨宮さんが描いた原画

その後すぐに、雨宮さんはレターアイテム「レッテラ デッラ ムジカ」を手がけます。

「音楽がテーマのレターアイテムですが、僕自身は音楽に詳しくなかったので、まずは『音や音色を造形に置き換えたら、どんな表現になるのか?』を考えました。音楽の魅力である音色の繊細さや余韻を、紙の上で表現するにはどうすればいいか…。そこで、ラインの表現にこだわりました。紙の上で音色が奏でられているかのように、音の余韻をラインの太さに込めて、強弱をつけて表現しました。また、全体の構図では、大きいト音記号を指揮者に、その他の音符モチーフを演奏者に見立てました。この製品で、自分なりの“音楽”を表したつもりです」

▲左が「レッテラ デッラ ムジカ」、右はムジカシリーズの「ムジカ ディ アウトゥンノ」

その後、「レッテラ デッラ ムジカ」はシリーズ展開することに。シリーズのアイテムにも、雨宮さんらしい感性がちりばめられています。

「秋のムジカシリーズ『ムジカ ディ アウトゥンノ』のデザインは、散歩をしていた時に浮かびました。子どもがピアノの練習をしている音色が、どこからか聞こえてきたんです。少し演奏してはつまずいたり、音をはずしたり…。そんな微笑ましい情景にインスピレーションを得ました。他のシリーズも音楽に直接関係のないものがヒントになっていますね」

信念は、最後まであきらめずにベストを尽くすこと

自分の世界観を着実に築きつつある、雨宮さん。そんな彼に、デザインする時に大事にしていることを伺いました。

「少しでも良いものを目指して、最後まであきらめずにベストを尽くすこと。製品を生み出す時はいつも、この気持ちが核にあります」

その信念そのものを形にしたのが、最新作の「はないろ箋」シリーズです。こちらは、G.C.PERSSでは珍しい、カラーのシルクスクリーンを採用しています。

「日本の和の風景と色をテーマにしているシリーズで、シルクスクリーンのフラットな美しさを表現しています。製品づくりをスタートして初めて、カラーのシルクスクリーンや2色組み合わせたシルクスクリーンは、弊社で手がけなかったことを知りました。完成するまで、何度かシルクスクリーンの工場に足を運び、職人の方へ自分の思いを伝えました」

▲「はないろ箋」(右)とシリーズ製品の「あさいろ箋」(中央)と「なついろ箋」

「経験豊富な職人の方には“規定外”と思われる方法をリクエストしたかも」と話す雨宮さん。声高に意見をやりとりするような場面もあったといいます。

「色が鮮やかに出過ぎたので墨(黒色)を入れてほしいとお願いしましたが、『そんなの(シルクスクリーンでは)邪道だよ』と取り合ってもらえませんでした。わたしも引けないので『邪道でもやっていただかないと、これは失敗作になってしまいます!』と言い返したり(笑)。2回3回4回と粘って、要望通りの色や線を出していただきました」

「製品が出来上がった時、職人の方にも『いいものができたね』と共感してもらえ、うれしかったですね。印刷加工の職人の方にやる気になってもらうことも、デザイナーの大事な仕事。それに気づかされた、思い出深い製品です」

最後に、G.C.PRESSユーザーへの思いを伺いました。

「わたしは、今でも高校時代の恩師へ近況報告を手紙に綴っています。また、結婚してからは、義理の母や両親に季節のイベントに合わせて、手紙を書く場面が増えました。手紙を贈る時は、人生の大事な場面が多いと思います。皆さまの人生の“大事な場面の手紙”にも耐えうる、質の高いレターアイテムを提供したい。そういう気持ちで、これからも製品づくりに取り組みたいと思っています」

インハウスデザイナーで唯一の男性である、雨宮さん。柔和な人柄から生み出される繊細でクールなデザインは、性別を問わず使えるレターアイテムばかり。雨宮さんが、これからどんな製品を生み出すのか、期待が膨らみます。

デザイナー 雨宮一光(あめみや かずみつ)
多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科卒。G.C.PRESSに入社7年目(2021年現在)。レターアイテム「レッテラ デッラ ムジカ」をはじめとするムジカシリーズなどのデザインを手がける。

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