
「なつ涼み」「吉祥縁起箋」
デザイナー 大山 薫子 Oyama Kaoruko
今回は、『なつ涼み』『吉祥縁起箋』を手掛けるデザイナー大山薫子さんにインタビューしました。
商品企画について
どのような企画からうまれた商品ですか?
「長い日本の歴史で作り上げられてきた伝統や文化は、奥深く美しいものです。
時代は変化しても、日本人の心の中に季節の行事や風物といった伝統は変わらず息づいていると思います。
それらを現代の世に大切に引き継げたらという思いを込めて企画しました。」

※デザイン原画
デザインについて
デザインをする上で拘ったポイントはなんですか?
「モチーフを生かすために、絵柄の原画は『木版』や『型染(ステンシル)』という日本の伝統的な技法で制作しています。
『吉祥縁起箋』は縁起物らしくたっぷりと絵の具をのせた木版画で、『なつ涼み』はステンシルで制作し涼しげで質感のある絵柄に仕上げました。
しかし、ただ印刷をするだけではどうしてもその良さが伝わりにくいです。
どのようにしたら原画のイメージに近い質感が表現できるか、印刷会社の方と綿密に打ち合わせをし少し工夫をして印刷をしてもらいました。

紙は『日本らしさ』を出すため、素材はマットな表面の和紙を使用しております。どちらも伊予和紙ですが、『吉祥縁起箋』は少し暖かみのある生成り、『なつ涼み』は風合いのある爽やかな白を使用し、それぞれの絵柄にあった色や風合いにしました。
便箋のサイズは、『なつ涼み』『吉祥縁起箋』の絵柄のイメージにも合わせ、一般的なA5サイズのものより少し小さめのサイズにしています。」


デザインのヒントになったものや、制作秘話をこっそり教えてください!
「日本の風物や縁起物を表現するにあたり、郷土玩具や民芸品のおおらかな雰囲気を参考にしました。
日本の民芸品や郷土玩具がとても好きで、家や会社に少しづつ小物が増えていってしまいます。
郷土玩具や縁起物の単純で可愛いフォルムの中には、願いや祈りが込められていて、のんびりと良い事を手招きしているのかなと思います。
それらは見ているとホッとしますし、とても愛らしいです。『吉祥縁起箋』や『なつ涼み』もそのような存在になっていただけたらという想いで絵柄を制作しました。」

デザイナーからのメッセージ

「吉祥とは良い事が起こる兆しの事です。手紙を書く方にも、受け取る方にも、幸せが訪れるよう縁起の良いかわいいモチーフを集めました。
吉祥柄は、お正月やお祝いごとに限らず、いつでもお使いいただけますよ。
『なつ涼み』は日本人にとって馴染みのあるモチーフを選んで、涼しげに表現しています。
少しユーモアのある表情の金魚やかき氷、ラムネなど定番デザインで心和んでもらえたら嬉しいです。
両商品とも外国の方にも伝わりやすい絵柄だと思いますので、海外向けのお手紙にも良いと思います。
小型サイズの便箋なので、『手紙』として気負わずに、一筆箋感覚でも使ってもらいたいです。」

- デザイナー 大山薫子(おおやまかおるこ)
- 1997年 東京芸術大学大学院修士課程版画科卒業。新卒でG.C.PRESSに入社。
代表プロダクトは「ぼうずシリーズ」「墨絵シリーズ」ほか多数。
