DESIGNER'S INTERVIEW vol. 06

「わたしのレターアイテムで、
書き手の方の思いがより伝わることを願っています」

デザイナー 藤田智子

G.C.PRESSの製品を支えるインハウスのデザイナー陣にインタビュー。第6回はデザイナーの藤田智子さんに、手がけたレターアイテムの製作秘話やご自身の手紙にまつわるエピソードなどを伺います。


■使っていて疲れないもの、飽きがこないものがいい

今年(2017年)で入社9年目となる藤田智子さん。「大学で学んだ日本画の知識が生かせそう」と、G.C.PRESSのインハウスデザイナーの道へ進みました。そんな彼女の代表的な製品は、「花の便箋」シリーズです。

「3年ほど前から手がけているもので、シリーズ一作目の「四季の散歩道」は完成するまでにかなり試行錯誤したので、とりわけ、思い出深い製品です」

便箋の表紙に描かれた草花たちは可憐で、目の前に咲いているかのような美しさに、目が奪われます。

「このシリーズでは使っていたいただく方に、“かしこまらずに、気軽に手紙を書いてもらいたい”という思いを込めて、あまり描き込まずに、さらりとスケッチしたように描いています。見た時にほっとするような、使っていて疲れないもの、飽きがこないものにしたいと思い、そこは意識して製作しています」
 

▲便箋「四季の散歩道」(右)と原画。商品名を手書きの文字にし、ラフ感を出したのだそう
 

藤田さんは入社以来、和の雰囲気のデザインを求められる場面が多く、独学で草花の描き方を研究してきたと話します。

「花によって一輪で咲いているのが美しかったり、集合で揺れているのが美しかったりと、草花にも個性があると思います。どうしても図鑑を見て描くことが多くなりますが、できる限り、自然に咲いている草花を自分の目で見て、感じた気持ちを大事にするように心がけています。『代々木公園』がオフィスから近いので、公園へ草花観賞に出かけ、自分なりに描き方を追求しています」

「(草花を描くのは)難しいけれど、自分の身になっていると思います」と、藤田さん。日本画の経験をいかした作風が多い彼女ですが、同時に、がらりと印象の違う製品も手がけています。それが、クリスマスをテーマにした便箋「真夜中のクリスマス」です。

 
▲便便箋「真夜中のクリスマス」(右)とシリーズの封筒
 

「もともと、『ムーミン』の作家・トーベ・ヤンソンの世界観のファンでした。出てくるキャラクターはかわいらしく色彩も豊かですが、どこかくすっと笑わせるようなペーソス(哀愁)が漂っていて…。あの雰囲気になぜか、惹かれます。それもあって、今回はトーベ・ヤンソンの世界観を参考に、“北欧の森”をイメージしました」

実は、「真夜中のクリスマス」も、前述の「四季の散歩道」に近い時期にリリースされましたが、まったく違う作風に仕上がっています。

「製作する上でのイメージは異なりますが、『真夜中のクリスマス』は、日本画の画材を使用しています。紙は“雲肌麻紙”を使用し、顔料は“岩絵具”を使っています。岩絵具は主に、天然の鉱物を砕いたものに膠液(にかわえき)を混ぜて、和紙の表面に接着しながら使用するもの。粒子のあるざらざらとした質感で、素朴な風合いが出せます」

「今までは、草花のモチーフをテーマにした製品を多く求められてきました。もちろん、草花も好きなモチーフですが、『真夜中のクリスマス』の世界は、プライベートで好きなもの。それを製品にできて、素直にうれしかったです」

■周囲からの声が、デザインの活力に

自身の持ち味を突き詰めながら、新たな得意分野も開拓している藤田さん。「周囲から製品について声をかけてもらえると、デザインの活力になります」と話します。

「使っていただいているお客様から、感想や感謝の言葉をいただくと励みになります。また、友人から『(藤田さんがデザインした)便箋を買ったよ』と連絡があると、やっぱりうれしい! デザイナーの喜びは、業者の方と何度も校正のやりとりしながら、自分の描いた絵が製品になり、店頭に並ぶことだと思っています。さらに、お客様に喜んでいただけているなら、これ以上のことはありません」

ちなみに、ご自身で手紙を書く場面はあるのでしょうか?

「10代の時に地元を離れて以来、母とは定期的に手紙のやりとりをしています。母は書道教室の先生なので、その筆力に圧倒されることも…(笑)。手書きの文字には、その人にしか出せない味わいやパワーがあると思います。相手への思いもより伝わるような気がします」

最後に、G.C.PRESSのアイテムを使っているお客様への思いを伺いました。

「お客様が使いやすいことはもちろんですが、自分が楽しみながら製品をデザインすることも大切だと感じています。わたしが楽しんでデザインした気持ちを製品に込めること、そこには、こだわっているつもりです」

「手紙を書くのが好きな方も、得意ではない方も、“手紙を書く”ことは誰かを思いながらする行為。わたしがデザインしたレターアイテムを通して、書き手の方の思いがより伝わるよう、願っています」
 

 

「日本画の画材が好きなので、和紙を生かした“にじみ”などの表現を突きつめたい」と今後を語ってくれました。藤田さんが描く愛らしい草花の数々は、これからも、わたしたちの目を楽しませてくれることでしょう。

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デザイナー 藤田智子(ふじたともこ)
武蔵野美術大学造形学部日本画学科卒。2009年入社。便箋「四季の散歩道」や便箋「真夜中のクリスマス」などのデザインを手がける。