デザイナー INTERVIEW vol. 05

「“GCらしさ”含めてデザインすることの大切さを痛感しています」
デザイナー 海野ひかり

G.C.PRESSのペーパープロダクトを支えるインハウスのデザイナー陣にインタビューをします。第5回は、デザイナーの海野ひかりさんに、G.C.PRESSに入社したきっかけや手がけたプロダクトの製作エピソードを伺います。


いろいろなチャンスがあるので、積極的にチャレンジしたい

社内で一番の若手・海野ひかりさん。「もともと、文房具が好きでした」という彼女は、大学時代、自分で自作の文房具を製作するほど、文房具フリークだったのだそうです。

「文房具の中でも、特にノートが好きです。大学時代、自分なりに製本について調べて、自己流でノートを作りました。紙は『竹尾』という紙の専門店で気に入ったテクスチャーのものを購入して…。楽しかったですね!」

ノート作りから派生し、自主製作の一環でアーティストブックも製作。それが専門家の目に留まり、ニューヨークの「アーティストブックフェア」に出品されたのだとか。

「布を折り畳んだような作品や紙を切り抜いてポケット状にした“からくり絵本”のようなものなど、何種類か作りました。それを、学園祭に出品したら、興味を持ってくれた人がいらっしゃったんです。私は行けなかったけど(笑)、作品だけNYへ。いい経験をさせてもらいました」

就職活動の時、文具メーカーに目が留まったのも、自然な流れだったのかもしれません。海野さんは、大学を卒業後、G.C.PRESSのデザイナーとなります。入社して早々、G.C.PRESSの人気プロダクトの一つ、シール製作を担当します。

▲シール「ふわふわ 招き猫」(左)とシール「金魚」

「『ふわふわ 招き猫』は、家にある父からもらった招き猫を参考にしました。こだわったのは、猫の手の位置です。『欲張って招き猫の手を上げすぎるとなかなか福が来ない』という説が実際にあり、それを踏まえて中間の位置でデザインしました。他の企業と比較はできませんが、弊社は新人にも多くのことに携わらせてくれる気がします。いろいろなチャンスをいただけるので、これからも積極的にチャレンジしていきたいです」

リニューアルする必要がないほど、普遍的なプロダクトを作りたい

その後、海野さんは、念願だったレターアイテムのデザインを手がけます。それが、夏の風物をテーマにした「夏遊箋(なつゆうせん)」です。

「G.C.PRESSには、独自の世界観があります。夏の風物を扱ったレターアイテム『夏遊箋』で例えるなら、『あさがおはOK。でも、『夏遊箋』の世界観に限り、ひまわりはNG』といった感じです。新人ということもあり、わたしは弊社プロダクトの世界観を把握しきれていませんでした。なので、夏の風物のモチーフが決まるまで、本当に時間がかかりました」

周囲からアドバイスを参考に検討に検討を重ねた海野さん。そんな中、社長からの投げかけられた一言が、暗中模索していた彼女に光を当てたのだそうです。

「『”京都の夏の庭“をイメージしてみたら?』というアドバイスをいただきました。この一言で、一気にイメージが沸きました。その後は、自分のイメージだけにとらわれないよう、工芸品の作品集や資料を調べつくしました」

熟考に熟考を重ねたモチーフには、ひとつひとつに独特の世界があり、何とも言えない魅力があります。また、このプロダクトには斬新な印刷加工がされており、それが、さらなる魅力の源になっています。

「デボス(※1)とエンボス(※2)の加工を一緒に使っています。薄いブルーの四角い枠をデボスで押上げ、その四角い枠の中にモチーフをエンボス加工しています。これは、職人さんから提案をいただいて叶った加工方法。今までにない表現でプロダクトをつくることができました」

※1 金属版や樹脂版などの凸版で用紙に圧を加え、凹ませる印刷加工。
※2 金属版や樹脂版などの凹版と凸版で用紙に圧を加え、浮き上がらせる印刷加工。

▲薄い青の背景は、裏から持ち上げるデボス加工。デボスとエンボスの組み合わせが、1枚の紙とは思えぬほどの立体感を生み出しています。

海野さんの努力と印刷業者の職人さんの熱意が形になった「夏遊箋」。完成した時の喜びは、ひとしおだったといいます。また、このプロダクトを製作する過程で、“社会で働くこと”についても考えさせられたそうです。

「個人的な感覚だけに頼らず、“GCらしさ”含めてデザインすることの大切さを痛感しました。弊社のプロダクトの中には、10年以上もデザインが変わっていないものも多くあります。つまり、『妥協しないクオリティ』や『ずっと使えるもの』が、“GCらしさ”なのかなと…。リニューアルする必要がないほどのプロダクトを作り出せる社風は、本当にすごいと思います。“GCらしい”プロダクトを生み出せることが、今後の課題なのかなと感じています」

最後に、G.C.PRESSユーザーへの思いを伺いました。

「手紙を書くことは、お互いのことを深く考える行為ではないかと思います。そういう時間がつくれることは、本当にすてきなこと。わたしの手がけたプロダクトが、その時間をつくるのにふさわしいものであってほしい…、お客様の暮らしをより豊かにするものであってほしい…。そんな思いで、これからもプロダクトデザインに努めたいと思います」

今後について「モチーフの世界観をつきつめながら、印刷加工だけで製作するようなプロダクトも手がけてみたいです」と話してくれました。入社したての瑞々しい感性からどんなプロダクトが生み出されるか、自然と期待が高まります。

デザイナー 海野ひかり(うんのひかり)
東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒。2016年に新卒でG.C.PRESSに入社。便箋「夏遊箋」やシール「ふわふわ 招き猫」などのデザインを手がける。

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